日本を訪問したハント英外相は15日、安倍首相と首相官邸で会談し、英国は合意なき欧州連合(EU)離脱を回避する決意だと言及した。同外相はこの日、トヨタ自動車も訪問。ブレグジットを巡る不透明感の高まりを背景に日本企業の中で英国事業を見直す動きが出ている中、政府による確証を与える狙いだ。
安倍首相はハント外相に対し、英国のEU離脱期限が最長で10月末まで延期されたことにより、合意なき離脱が当面回避されたことを歓迎する旨を伝えた上で、日系企業や世界経済への悪影響を最小化し,円滑な離脱が実現されるよう強く期待するとした。ハント氏はこれに応える形で、日本企業による対英投資やそれに伴う雇用創出、英国の製造業の変革について述べ、合意なき離脱を回避する決意を伝えた。
安倍首相は併せて、今年6月に大阪で開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を巡り、英国に協力を要請している。
ロイター通信などによると、ハント外相は安倍首相との会談後にトヨタを訪問。英政府はEUとの関税のない貿易を持続することに注力していることを伝えたとみられる。同社を巡っては、英国が合意なしにEUを離脱した場合、同国での生産から撤退する可能性があると報じられている。
日産自動車は2月、イングランド北東部のサンダーランド工場で計画していたスポーツタイプ多目的車(SUV)「エクストレイル」の欧州市場向け新モデルの生産を取りやめると発表。ホンダもイングランド南部のスウィンドン工場での車両生産を2021年に終了すると明らかにするなど、日系メーカーの撤退発表が相次いでいる。[日本企業の動向]
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