メイ首相は9日、ベルリンでメルケル独首相と会談した。同日夕にはパリでマクロン仏大統領とも会談。両首脳に対し、欧州連合(EU)離脱を6月末まで延期することへの理解を求めた。メルケル首相はかねて合意なき離脱を回避する方針を示しており、離脱延期も支持しているとされる一方、マクロン大統領は離脱の延期には批判的とみられている。EUは10日の臨時首脳会議(サミット)でこれに応じるかどうかを決めるが、延期承認には全加盟国の支持が必要。一方、加盟各国の間では条件付きで12月末までの延期とする案も浮上しているもようだ。BBC電子版が伝えた。
英国は現時点で4月12日に離脱することになっているが、英下院でまだEU離脱協定の承認が得られていないため、このままでは合意のないままEUを離脱することになる。メイ首相はこれを避けるため離脱延期の申請を決めた。ただ、5月下旬の欧州議会選挙への参加を回避するため、延長期間は6月末までとし、その間に下院でEU離脱協定の承認を取りるける方針。これに向け、先には最大野党・労働党との協議にも着手した。
タイムズによると、EUのバルニエ首席交渉官はこれに対し9日の記者会見で、メイ首相が労働党との協議結果を踏まえ10日のサミットまでに新方針を示せば、離脱延期に応じる姿勢を示した。その場合、離脱協定自体の内容については再交渉の余地はないものの、「英・EU間の将来的関係に関する政治宣言については、数時間または数日あれば英国の新方針に沿うよう修正できる」としている。また、労働党がかねて求めている英・EU間の関税同盟についても、英国がEUの定める原則を守る限り、これに応じる用意があると話した。
ただ、ガーディアンが入手した内部資料によると、この日のブレグジットに関する閣僚理事会では再度の短期延期よりも12月末までの長期延期案に支持が集まった。またその条件として、離脱の決まっている英国が予算案などの重要案件に拒否権を行使するのを避けるため、メイ首相がEUへの協力を書面で約束するとともに、10月に英国がこの約束を実行しているかどうか審査する機会を設ける案などが議論されたという。これには、延期に批判的なフランスの意見が反映されているとみられる。また長期の延期となれば、英国が欧州議会選挙への参加を求められることは必至となる。
一方、英国ではこの日も、政府と労働党の間で協議が続けられた。政府からはハモンド財務相やゴーブ環境・食料・農村相、リディントン筆頭国務相、バークレイEU離脱相、クラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相らが出席。労働党からは交渉団を率いるスターマー影のEU離脱相をはじめ、マクドネル影の財務相らが参加している。
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