メイ首相は5日、欧州連合(EU)に書簡を提出し、英国のEU離脱を6月30日まで延期するよう申し入れた。英国は現時点で4月12日に離脱することになっているが、EU離脱協定への英下院の承認はいまだに得られていないため。ただ、5月下旬の欧州議会選挙への参加を回避するため、これより早い段階での離脱を目指すとしている。BBC電子版などが伝えた。
英下院は3日夜、合意なきEU離脱を回避するための法案を賛成313票、反対312票のわずか1票差で承認。4日には上院で審議が開始されたが、離脱強硬派がこの通過を阻止する目的で7件の修正案を提出したことで、早くても8日まで結論は得られない見通しだ。
一方、与党・保守党と最大野党・労働党の交渉チームは下院で可決の見込める新方針を探るため、協議を進めている。しかし、協議開始から3日目となった5日時点で合意には達していない。メイ首相は7日にビデオメッセージを公開し、現行の離脱協定を議会が受け入れる気配はないとし、協定を通すための「新たな道」を模索していることへの理解を求めるとともに、両党の譲歩が必要だと主張。「国民がEUを離脱することに投票したからには、われわれには議会としてこれを遂行する義務がある」と述べた。
EU離脱日の延長にはEU加盟27カ国の全会一致での支持が必要となる。EUはかねてさらなる離脱延期の条件として、具体的な新方針の提示を求めており、英国が新方針の定まらないまま追加で短期延期を求めることを、EU側が受け入れるかどうかが今後の焦点となる。もし英下院で合意が得られない場合は、英国も欧州議会選の出馬候補者を選出する必要が生じる。
■トゥスク大統領が柔軟な提案も
トゥスクEU大統領は一方で、最長12カ月間の柔軟なブレグジット延期容認を加盟国に提案するもようだ。英議会が離脱協定を承認した場合、延期期間を短縮できる仕組みを想定している。EUの幹部の話として、BBC電子版などが伝えた。
それによると、この柔軟な延期案は4月10日のEU首脳会議(サミット)でメイ首相に提示される可能性がある。これについても加盟27カ国全てから支持を得ることが条件となる。
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