英政府は、欧州連合(EU)離脱協定を巡る3度目の採決をなお目指しているもようだ。英下院のバーコウ議長は18日、前回と同じ内容の政府動議の採決は認めない方針を示したが、何らかの手法でこれを覆し、早ければ来週にも採決にこぎつける意向としている。バークレイEU離脱相が19日、公共放送BBCのラジオ番組で明らかにした。
同相はバーコウ議長の判断について、「審判を尊重」し、従うことは重要とした上で、同議長自身が以前に述べた通り、前例主義をかたくなに守るだけでは「何も変わらない」との考えを示した。その上で、与党・保守党内のEU離脱強硬派と北アイルランド・民主統一党(DUP)から可決に必要な数の議員の支持が得られた場合、3度目の採決を実現する「方法を見出す」としている。
バーコウ議長は、1604年に定められたとされる国会手続きの原則を基に、政府動議の内容が前回と「実質的に」異ならない限り、同じ国会期間中の再採決は認めないとしている。タイムズによると、これを回避するには、下院で3度目の採決の是非を巡る採決を行い、支持を取り付ける方法が最も現実的。このほか、離脱協定の成立に下院の承認が必要と定めた法律を改正する方法もあるが、この法改正自体に下院の承認が必要。また、今会期をいったん終了し、新たな会期を開始する方法は、再びエリザベス女王の施政方針演説が必要となり非現実的という。
ただ、3度目の採決で離脱協定が承認されても、法的な手続き上、短期の離脱延期は必須となる。BBC電子版によると、メイ首相はEUに対し離脱期限を3月29日から6月30日まで延期を求めるとともに、予備的に長期延期の選択肢も示す方針とみられる。
これに対し、EUのバルニエ首席交渉官はこの日の記者会見で、「短期か長期のいずれかを選ぶ必要がある」とコメント。短期が無理なら長期延期との姿勢に疑問を示し、長期の延期を求める場合には何らかの新展開と結び付ける必要があると話した。EU加盟国の間ではかねて混乱を長引かせるだけの離脱延期には反対する声が強く、ブレグジット方針の変更や2度目の国民投票などの検討を条件に、長期延期を認めるべきとの意見もある。
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