英下院のバーコウ議長は、政府が20日までに行うとしていた欧州連合(EU)離脱協定を巡る3度目の採決について、前回と同じ内容の政府動議を出す場合は採決の実施を認めないとの方針を示した。与党・保守党の離脱強硬派の一部が離脱案支持に傾きつつあり、土壇場での勝利を目指していたメイ首相にとっては、思いがけない介入で計画を狂わされた格好だ。
バーコウ議長は、EU離脱案の2度目の採決は、1度目と大きく異なっていたため認められたが、3度目の採決を実施する場合も前回と内容が異なるものではならないとの見解を示した。事前にこうした警告がなされていなかったことから、政府側には驚きが広がった。
これとは別に、政府内では、与党・保守党内のEU離脱強硬派と北アイルランド・民主統一党(DUP)から可決に必要な数の議員の支持が得られなければ採決は行わないとの流れも出ていた。
ハモンド財務相が17日、公共放送BBCのテレビ番組で、「党内およびDUPから十分な支持を獲得し、下院で可決できるとの確信が持てた場合にのみ再度の採決を行う」とコメント。政府は議員の説得を続けているものの、この日の時点でまだ可決に必要な票数を獲得していないと話した。フォックス国際貿易相もこの日、スカイニュースに対し「否決されるとわかっている場合、採決実施を正当化するのは難しい」との考えを示している。
一方、離脱強硬派の間では、リーダー格のジェイコブ・リースモグ議員が離脱協定の支持を示唆したほか、メイ首相のブレグジット方針に反対して昨年11月に辞任したマクビー前労働・年金担当閣外相が正式に支持を表明するなど、同協定の支持に回る動きもある。ただ、18日付タイムズがデービス元EU離脱相の話として伝えたところによると、正式に支持を表明した議員の中には、メイ首相がDUPの支持を取り付けなければ、支持を撤回する方針の議員もいるとみられる。デービス氏は、DUPが同協定の支持に回れば、可決の可能性が50%あるとの見方を示している。
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