英国のメイ首相は、下院で12日に行われる欧州連合(EU)離脱協定の再採決に向け、EU側と土壇場での協議に続けている。週末を挟んでも大きな進展が見られず、再び大敗を喫するとの観測も出る中、採決を目前に控えた11日夜にはユンケル欧州委員長と直接話し合うため、欧州議会がある仏東部ストラスブールに向かった。BBC電子版などが伝えた。
英国は離脱協定に含まれる「バックストップ(安全策)」に法的拘束力のある変更を加えるようEUに求めており、週末も協議を継続。EU側の交渉担当者は既に「バックストップ」が恒久的に続かないよう保障するような解決策を提案したと言い、「次のステップを決めるのは英国の議員だ」として、ボールを英国側に投げている。具体的な提案内容については明らかにされていない。
EUの関係者によると、ブレグジット交渉は9日に一旦合意に近づいたが、メイ内閣の閣僚がこの内容を拒否したため物別れに終わった経緯があるという。メイ首相は翌10日、電話会談の際にユンケル委員長にそのことを伝えたとされる。
下院では12日、「バックストップ」を巡るEUとの協議の進展内容を反映した政府のEU離脱方針について、是非を問う採決が行われる。併せて、下院議員からはこれに対する修正案が出され、この中から下院のバーコウ議長が選んだ修正案も採決の対象となる。
「バックストップ」は、移行期間中に英・EU間の貿易協定がまとまらなかった場合に、アイルランドと英領北アイルランドの間の厳格な国境検査を避けるため英国全体がEU関税同盟にとどまる措置。与党・保守党内のEU離脱強硬派はこれが恒久化することを危惧して反対する一方、同党に閣外協力する北アイルランド・民主統一党(DUP)も北アイルランドが英本土と異なる扱いを受けるとして反発している。
下院で政府のEU離脱方針が再び否決された場合、離脱期限の3月29日に合意なしに離脱するべきかどうかの採決が13日に行われ、これが拒否されればさらに翌14日に、離脱延期の是非を問う採決が実施される。
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