英政府は4日、経済的に取り残された地域向けに16億ポンドの基金を新設すると発表した。雇用創出や訓練、経済活性化に充てる方針。欧州連合(EU)離脱の支持率が高かった低所得地域に資金を投入することにより、これらの地域の労働党議員からEU離脱協定への支持を取り付ける狙いとみられている。
このうち10億ポンドは各地域のニーズに基いて配分し、うち5億8,300万ポンドはイングランド北部に、3億2,200万ポンドはイングランド中部に割り振る。残りの6億ポンドは、競争入札方式で支給。全国どの地域も応札できる。BBC電子版によると、住宅・地域社会・自治省は、ウェールズとスコットランド、北アイルランドについても近く発表を行うとしている。
メイ首相は2月、労働党のコービン党首が示したブレグジットを巡る要求についての回答の中で、経済的に取り残された地域への追加支援を検討する姿勢を示していた。同首相は今回、「長年、英国では富が不公平に配分されてきた」と指摘。「全国の多くの地域が変化を求めてブレグジットに票を投じた。その変化は、より多くの機会と決定権をもたらす良い方向への変化でなければならない」と話している。
これに対し、労働党のマクドネル影の財務相は、「基金は政府の掲げる有害なブレグジット案への支持獲得に向けた賄賂だ」と批判。また、2度目の国民投票を支持する同党の議員からは、EU離脱のコストと比べれば基金の規模は「大海の一滴」に過ぎないとの声も上がっている。
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