英下院で29日、英国の欧州連合(EU)離脱協定が下院で否決されたことを受けて示した新方針とその修正案を巡る採決が行われる。下院議員からはさまざまな修正案が提出されており、この中には合意なきEU離脱を回避する案や、離脱協定に含まれるアイルランド国境の「バックストップ(安全策)」について同首相にEUとの再交渉を求める案も含まれている。中には超党派の議員の支持を得ている修正案もあり、修正案の可決によりブレグジットの行方が左右される可能性もある。BBC電子版が伝えた。
メイ首相は、EU離脱協定を下院が歴史的大差で否決したことを受け、先に代替案を提示した。しかし、その内容は従来路線と大きく変わらず、あくまで同協定への支持獲得に努める一方、これが否決されればEU離脱期限である3月29日に合意のないまま離脱するとしている。これに対し、与野党の議員からは十数件の修正案が出されており、この中からバーコウ下院議長が選んだ一部の修正案について採決が行われることになる。どの修正案が採決の対象となるかは、当日に発表される。
このうち、「バックストップ」を別の措置に置き換えることを義務付ける修正案を提出した与党・保守党のグラハム・ブレイディ議員は、政府が同修正案を正式に支持する可能性も高いとみて、可決への自信を示している。この修正案が可決されれば、保守党内のEU離脱強硬派や同党に閣外協力する北アイルランド・民主統一党(DUP)が離脱協定の支持に回る可能性が高く、メイ首相がEUに離脱協定の再交渉を求める上で有利になるとの理由からだ。
ただ、EUはかねて離脱協定を巡る再交渉の可能性を否定している。また、アイルランドのコーブニー副首相兼外務・貿易相は27日、「バックストップはバランスの取れた包括的な協定の一部分であり、変更されることはない」との考えを示した。
英下院ではこのほか、最大野党・労働党のイヴェット・クーパー議員らがEU離脱期限である3月29日までにEUとの合意が得られなければ、離脱を9カ月遅らせるとする修正案を連名で提出しており、多くの議員がこれを支持している。
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