メイ首相は11日、先に欧州連合(EU)と合意したEU離脱協定を巡る下院での投票を、1月21日までに実施する方針を示した。これに向け、同首相は11日にEU首脳らと会談し、下院での承認獲得を促す措置を協議する。最大の支障となっている「バックストップ(安全策)」が恒久的な措置ではないという何らかの法的保証をEUから取り付ける狙いで、まずオランダでルッテ首相と協議した後、ドイツを訪れてメルケル首相と会談。その後にブリュッセルで欧州委員会のユンケル委員長とも話し合う予定だ。BBC電子版が伝えた。
下院でのEU離脱協定を巡る投票はこの日に予定されていたが、大差で否決される可能性が高まったことを受け、メイ首相は前日午後になって投票の延期を発表。その際、EUと再協議し、「バックストップに関するさらなる確証」を得る意向を示していた。下院院内総務のレッドソム氏によると、メイ首相は英議会に「バックストップ」を発動するかどうかの決定権を与えるとともに、1年ごとに英議会でこの措置の継続の是非を問う方針。ただ、離脱協定の本文は変更せず、こうした内容の補遺を追加する方向でEUと協議するという。
欧州委のユンケル委員長は、離脱協定の再交渉の可能性を否定した上で、「さらなる明確化や解釈の余地はある」と話している。また、EUのトゥスク大統領も、「バックストップ」も含めて合意内容の再交渉は行わないとした上で、「離脱協定の英国での批准を容易にする方法を協議する準備はある」としている。英国を除くEU27カ国は、13日にブリュッセルで開かれるEUの定例首脳会議(サミット)の冒頭で、この問題について協議する予定。
一方、下院ではメイ首相の不信任投票を求める動きが再加速する気配もある。不信任投票に持ち込むためには48人の保守党議員が不信任を表明する必要があり、現時点ではまだ26人にとどまっているものの、これを検討する議員が増えているという。一方、最大野党・労働党は、スコットランド独立党(SNP)と自由民主党、ウェールズ党、緑の党の4野党からメイ首相の不信任案を提出するよう求められているが、労働党のコービン党首は、メイ首相がEUとの新たな合意内容を提示するまで待つ方針。また、これら4党は労働党に、EU離脱を巡る2度目の国民投票を支持することも求めている。コービン党首もこの可能性を否定していないものの、まずは総選挙の実現を目指すとしている。[EU規制]
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