メイ首相は10日、下院での演説で、先に欧州連合(EU)と合意したEU離脱協定を巡る下院での投票を延期すると発表した。予定通り11日に実施すれば、大差で否決される可能性が高いためとしている。メイ首相は、離脱協定の中で多くの議員が問題視している「バックストップ(安全策)」について、EU首脳や欧州委員会と再協議する可能性を示唆している。ただ、下院での新たな投票の日取りなどは明らかにしていない。
離脱協定には、EU離脱後2年間の移行期間内に英国とEUが貿易協定で合意できない場合、アイルランドと英領北アイルランドの間の国境検査を避けるため、英国全体が関税同盟にとどまる「バックストップ」が盛り込まれている。メイ首相は、これが恒久的に続くとの懸念が離脱協定の承認獲得の障害となっていることを受け、12月13~14日のEU首脳会議(サミット)に先立ちEU首脳や欧州委員会を訪問し、こうした懸念について協議するとしている。また、「バックストップ」に関する議会の決定権を拡大する方針も示した。
離脱協定には、野党や与党・保守党内のEU離脱強硬派に加え、EU残留派の多くの議員も反対している。メイ首相はこの日の演説で、2度目の国民投票を求める議員に対し、「下院の務めは国内の再団結を実現することだが、2度目の国民投票を行えば国は再び二分されることになる」と警告した。
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