政府は28日公表した報告書で、メイ首相が欧州連合(EU)と合意した離脱条件で英国がEUを離脱した場合、英経済は3.9%縮小するとの試算を明らかにした。EU離脱はどのような条件で行われても英経済にマイナスの影響を及ぼすと認めている。
各省庁の経済専門家が共同でまとめたこの報告書では、同首相が先にEUと合意した「離脱協定」に基づく試算は示されていないが、移民数の制限や貿易摩擦などの点でこれに最も近いシナリオでは、15年後の国内総生産(GDP)がEUに残留した場合と比べて3.9%縮小すると予想。向こう15年に国民1人当たり1,100ポンドを失う格好となる。
一方、EU・カナダ間の包括的経済貿易協定(CETA)を想定した「カナダ型」ブレグジットでは、6.7%のマイナスになると試算。何の合意なしで離脱した場合には9.3%落ち込むとみる。
政府はかねてブレグジット後にEU域外諸国と自由貿易協定を結ぶメリットを強調しているが、報告書はこうした協定の影響は無に等しいとみる。米国、中国、オーストラリア、ニュージーランド、湾岸諸国、東アジアの大半の諸国と自由貿易協定が結ばれたとしても、向こう15年のGDP押し上げ効果は0.1%にも届かないと試算している。
ハモンド財務相は、「経済的観点のみで見れば、EU離脱はどのようなシナリオでも貿易障壁を伴うため、経済的損失をもたらす」と認めた上で、メイ首相の「離脱協定」は経済的損失を最小限に食い止めるものだと強調している。
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