英国のゴーブ環境・食料・農村相は16日、辞任したラーブ欧州連合(EU)離脱相の後任の打診を拒否した。ゴーブ氏も先に閣議で承認されたEUとの離脱協定案を支持しておらず、メイ首相がEUとの再交渉をさせない限り、EU離脱相のポストは受けないと発言したという。ただ辞任はせず、政権にとどまると明言した。BBC電子版などが伝えた。
EU離脱派のゴーブ氏は後任の最有力候補と目されていたが、メイ首相の朝の記者会見の直前に要請を拒否したとされる。ただ、メイ首相への信任を尋ねられると、「もちろんだ」と述べた。政権にとどまりつつ、首相に方針転換を迫る考えのようだ。
EU離脱相の後任には、EU離脱派のバークレイ保健・社会福祉担当閣外相が就任。ラーブ氏に続いて辞任したマクベイ雇用・年金相の後任には、ラッド前内相が指名されている。
英国側の交渉責任者だったラーブ氏は15日に辞任。さらに、マクベイ氏とバラ北アイルランド担当閣外相、ブレイバーマンEU離脱担当閣外相も相次いで辞任を表明した。一方、EU離脱派の保守党議員のリーダー格であるリースモグ議員は、メイ首相に対する不信任を表明する書簡を保守党議員委員会(1922年委員会)に送付しており、同委に48人から同様の書簡が寄せられれば、不信任投票が行われる。なおブレイディ委員長によると、18日時点で書簡は規定数に達していない。
メイ首相は、EU側と暫定合意した離脱協定案は「英国にとって真に最良の合意」と強調。自身を退任に追い込むことは、ブレグジット交渉と離脱時期の遅延につながるとけん制した。それでも反対の声は大きく、英議会の承認獲得はかねて疑問視されている。一方、英政府が離脱協定案を閣議承認したことを受け、EUはブレグジット交渉の妥結に向けた臨時首脳会議(サミット)を25日に開催し、英離脱協定を正式に締結する方針を示している。[EU規制]
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