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国境管理の不備に警鐘 合意なし離脱巡り=英会計監査院

英会計監査院(NAO)は24日、欧州連合(EU)離脱に向けた国境管理の準備に関する報告書を公表した。合意なし離脱の場合には政府の準備が間に合わない可能性があり、代償は大きいと警告している。

報告書では、国境を通過する物品やサービスは年間4,230億ポンド相当に上り、その多くがEU向けかEUを経由していると指摘。また、国境を通過する人の数も2億人を超えるという。

来年のEU離脱により新たな国境管理が必要となるが、合意なし離脱では移行期間が設けられないため、直ちに厳格な管理を実施することが求められる。この場合、最大で25万社が新たに税関申告書を提出しなければならず、歳入関税庁(HMRC)による関税徴収の件数は、現在の5,500万件から約2億6,000万件に増加する見通しだ。

NAOの試算では、国境管理の準備で重要な12件のプロジェクトのうち、11件が合意なし離脱に間に合わないか、許容できる水準に達しない可能性がある。このため国境管理に遅延が生じ、関税ルールが順守されなかったり、トラックなど輸送車両の渋滞などを引き起こしかねない。さらに、管理の弱点に付け込んだ組織犯罪が横行する恐れもあり、政府に対して、こうした問題に早急に取り組む必要があると注意を促している。

政府の広報担当官はこれに対し、「ほぼ2年間かけて、合意なし離脱も視野に入れた準備を進めてきた」と反論。離脱日から管理が機能するよう、IT(情報技術)システムやインフラもすでに構築していると説明した。

◾️仏政府は国内企業に通達

一方、フランス政府は23日、国内企業に対して、合意なし離脱を含めた最悪の事態に備えて準備するよう求める文書を送付した。法務や人事、仕入れ先、サプライチェーン、コスト、活動拠点、データ、契約など、あらゆる影響を調べる自己診断テストを実施するよう呼び掛けている。

また、EUのトゥスク大統領は24日、欧州議会で発言し、離脱交渉で合意に向けた決定的な進展があればいつでも特別首脳会議を開く用意があると明らかにした。英国が移行期間の延長を要請すれば、各国首脳はこれに応じるとの見方も示している。


関連国・地域: 英国フランスEU
関連業種: マクロ・統計・その他経済政治

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