政府から移民問題の調査を委託されている移民助言委員会(MAC)は18日公表した報告書で、英国の欧州連合(EU)離脱後に労働目的で英国入りするEU市民のビザ要件を、EU域外出身者と同等にするべきとの見解を示した。EU出身者よりも、むしろ高いスキルを持つ労働者を優遇するべきとして、こうした移民の制限を撤廃するよう提言している。
MACは2017年7月、EUからの移民の現状や動向とその影響についての調査を内務省から委託された。今回、公表したのはその最終報告書。その中で、EUからの移民増は国民生活の負担にはなっていないと指摘した。EU移民の納税額は社会的補助の受給額を上回るほか、医療従事者としての貢献が国民医療制度(NHS)への負担よりも大きく、犯罪率の上昇にもつながっていないとした。
その上で、EUからの移民を特別優遇するほどの強い理由もないと判断。ホテルや介護施設などの労働力不足を補うために、EU出身の低スキル移民を特別扱いする必要もないとした。ただ、99%をEU出身者が占める農業の季節労働者については、例外とする可能性を示唆している。
メイ首相はかねて、EU離脱交渉の駆け引きの一環としてEU移民労働者の優遇を提案する可能性を示唆しているが、MACはこれについては必ずしも否定していない。政府はこの報告書を慎重に検討するとコメントしている。また、最大野党・労働党はこの報告書について、「非EU移民への差別撤廃につながる」として歓迎している。[労務]
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