国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は17日、欧州連合(EU)離脱はどのようなシナリオをたどっても、英経済に損失をもたらすとの見解を示した。EUとの新たな関係における貿易障壁が大きいほど損失が高まり、合意なしに離脱すれば大幅に拡大すると警告。EUと協定を結ばず世界貿易機関(WTO)のルールで貿易を行っても英経済にプラスになるとする英与党・保守党のEU離脱派の主張を真っ向から否定している。
IMFはこの日に公表した英経済に関する最新報告書で、「ブレグジットの影響は概ねマイナス」と指摘。移民数の減少により労働市場の効率が低下するほか、EUとの貿易障壁が高まり、競争や対内投資の魅力が低下するとの見通しを示した。英国の今年の国内総生産(GDP)成長率については、7月の予想から0.1ポイント引き上げ、1.5%とした。来年の成長率見通しも1.5%で据え置いた。ただし、これらはEUと広範囲な合意が結ばれることが前提としている。
ラガルド専務理事は、英国とEUに対し、ブレグジットに伴う制度激変により多大な損失が生じる事態を避けるため、交渉に励むよう促す一方、「未解決の問題が多く、残された時間は少ない」と話した。仮に英国が合意なしにEUを離脱した場合、その打撃を英中銀イングランド銀行や財務省が緩和することは難しいと予想。「たとえ大規模な財政緩和を行っても問題の本質や根本的原因には対処できない」との見方を示している。
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