メイ首相は13日、首相の公式別荘「チェッカーズ」でトランプ米大統領と会談し、英国の欧州連合(EU)離脱後に英米間の自由貿易協定(FTA)の締結を目指すことで合意した。トランプ氏は前日の大衆紙サンとのインタビューで、メイ首相のEU離脱方針を批判し、ブレグジット後の英米間の貿易協定締結に否定的な見解を示していたが、この日の記者会見では態度を一転し、協定締結に前向きな姿勢を示した。
メイ首相は会談後の記者会見で、「英国のEU離脱に伴い野心的な英米FTAを目指すことで合意した」と発表。先に閣議承認されたEU離脱方針は、こうした協定の締結を可能にするものと説明。関税を引き下げるとともに、金融サービスでの協力に向けた基準を設定し、新しいテクノロジーを活かして経済発展の機会をつかむことのできる協定を目指すと話した。
トランプ大統領は、サンのインタビュー記事はメイ首相に関する好意的コメントを削除しており、「いわばフェイクニュースだ」とコメント。メイ首相のブレグジット政策を巡る手腕を称賛し、「素晴らしい」二国間貿易協定の締結が可能と話した。
サンが公開したインタビューの録音によると、トランプ大統領は、メイ首相の目指すブレグジット後の対EU関係について、「こうした関係が結ばれれば、米国は英国ではなくEUと交渉するのと同じことになり、貿易協定の可能性はなくなる」とコメント。「自分なら違うやり方をする」と述べ、メイ首相に助言をしたが聞き入れられなかったと話していた。
メイ内閣は先にチェッカーズで開いた閣議で、モノの貿易についてEUのルールとの協調を重視する「ソフト・ブレグジット」色の強い対EU交渉指針で合意していた。
トランプ大統領夫妻は12日にロンドン・スタンステッド空港に到着。この日夕方にオックスフォード近郊のブレナム宮殿でメイ首相夫妻との晩さん会に出席した。同大統領は13日、チェッカーズでメイ首相と会談後はウィンザー城でエリザベス女王に謁見した。なお、ロンドンでは12日、トランプ大統領の訪英に抗議する市民が大規模なデモ行進を実施し、数万人が参加した。[EU規制]
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