英商工会議所(BCC)は3日、英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、企業が明確な回答を早急に必要としている24項目を示した質問状を政府に提出した。EU離脱交渉にほとんど進展がなく、企業にとって忍耐も限界にきていると警告している。
BCCは24項目について、ブレグジット後の取引について英国各地の企業が求めている「実世界」の質問であると指摘。このうち、英国在住のEU国籍者の地位と企業が準拠すべき工業規格の2項目にはやや進展があるものの、それ以外の22項目は何ら明らかになっていないという。こうした項目には、EU各国との貿易における付加価値税(VAT)の扱い、輸入関税と原産地規則の問題、税関手続き、英国の製品規則がEUでも認められるかどうか、英国・EU間の従業員の移管手続き、EUの研究開発(R&D)プロジェクトに対する英国企業の参加の可否など、具体的な内容が列挙されている。
BCCのアダム・マーシャル事務局長は「過去2年にわたり企業は耐えてきたが、もう時間切れが迫っており忍耐も限界に達している」と指摘。「政治家は言い争いをやめて、国内経済の利益を最優先すべき時期に来ている。質問内容は英国のあらゆる地域・分野・規模の企業の現実的な懸念である」と強調している。
これに対して政府報道官は「EUとできるだけ摩擦のない協定を結ぶことに自信がある」と繰り返し、EU側には実際的な提案を示しており、間もなく公表する白書もこの提案を推進するものになると説明している。
なお、会計事務所や法律事務所など専門・ビジネスサービス企業を代表するPBSCも3日、政府に要求事項を示した書簡を提出した。EU離脱交渉で会員企業の利益を配慮していないことに懸念を示し、EUと英国の間で規制や専門職資格、営業免許などの相互認証が必要だと明示した。EUとの間に取り決めがなければ、ビジネスサービス分野の活動が阻害され、こうしたサービスに依存する企業に打撃を与えると警告している。
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