英下院(定数650)は20日、欧州連合(EU)離脱法案を319対303の賛成多数で可決した。与党・保守党内には十数人が造反する動きもあったものの、投票直前まで政府が説得を続け、最終的に6人を除く全与党議員が政府の支持に回った。EU離脱に向けた最重要法案の一つが可決されたことで、政府はひとまず胸をなでおろす格好となった。同法案はその後、上院も通過しており、数日内にエリザベス女王の裁可を経て成立する見通し。
保守党内では12名ほどのEU残留派議員が同法案に反対していた。焦点となっていたのは、EUとの離脱交渉がまとまらなかったり、合意内容を議会が否決した場合、政府がEUと何の取り決めもなしに離脱する「ハードブレグジット」の道を選ぶことを、議会が阻止できるかどうかだった。デービスEU離脱相はこの懸念を解消するため、こうした場合に下院での動議を可能にし、議論の時間を与えることを書面で約束した。同法案はその後、上院に戻されたが、上院は下院の修正案を投票なしに受け入れた。
EU離脱法案は、EU法の優位性の終了や現行のEU法を国内法に置き換えることなどを定めるもの。下院は昨年12月、EUとの最終合意に議会の承認を義務付ける修正案を可決していた。その後、上院がさらに15件の修正案を可決したため、再び下院で審議が行われていた。
メイ首相は投票結果について、「英国の下院が民意の実現に取り組んでいることが、国民とEUに示された」とコメント。政府は向こう数週間に、将来的な対EU関係の詳細を示す白書を公表するとともに、貿易・関税法案を議会に提出する予定。[EU規制]
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