イングランドで3日に投票があった地方選の最終結果が公表された。国政与党の保守党は、欧州連合(EU)離脱を巡り山積する課題や閣僚の辞任問題などの逆風が吹き荒れる中、総じて無傷のまま切り抜けた。一方、大勝が予想されていた最大野党・労働党は思うように票が伸びなかった。選挙は150の自治体で実施され、労働党は選挙前から横ばいの74議会、保守党は2つ減らして46議会で多数派を占めることとなった。BBC電子版などが伝えた。
今回の地方選では計4,371議席が争われ、労働党が前回から77議席増となる2,350議席を獲得。保守党は1,332議席と33議席減らした。自由民主党は75議席伸びて536議席。緑の党も39議席と8議席増やした。英国独立党(UKIP)は123議席を失い、わずか3議席となった。
労働党は、南西部プリマス(Plymouth)で保守党から過半数を奪ったほか、北部カークリーズ(Kirklees)とロンドンの金融街カナリーウォーフを抱えるタワーハムレッツ区で多数派となった。ロンドンでは他に、保守党の牙城であるワンズワース区とウェストミンスター区で議席を増やしたものの過半数には届かなかった。一方、中部のヌニートン・アンド・ベッドワース(Nuneaton and Bedworth)とダービー(Derby)で過半数を割り込んだほか、強固な地盤を持つ北西部ウィガン(Wigan)や中部シェフィールド(Sheffield)で議席を減らした。
保守党は、南東部バジルドン(Basildon)と東部ピーターバラ(Peterborough)で UKIPが失った支持を取り込み、多数派となった。ロンドンでは、労働党がターゲットにしていたヒリンドン区で着実に議席を増やして過半数を維持したほか、自由民主党が多数派を占めるサットン区で9議席伸ばした。しかし、イングランド全体で見ると、保守党はこれまで多数派を維持してきたうちの4議会で過半数を割り込む結果となった。
英国では欧州連合(EU)離脱の方針を巡る議論が続いており、上院は先に、EUとの離脱の最終合意を議会が否決した場合、政府にEUとの再交渉を義務付ける内容の修正法案を可決した。今回の地方選は、政府のブレグジット方針に国民が間接的に審判を下す機会となったが、保守党は離脱支持派が多い地域で優勢を確保した。一方、労働党は残留派が多い地域での支持が高く、さらに汎欧州的な地域では自由民主党が票を伸ばす結果となった。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。