英上院は1日、欧州連合(EU)離脱法案の修正案を335対244の賛成多数で可決した。EUとの最終合意を議会が否決した場合、政府にEUとの再交渉を義務付ける内容。政府はかねて、議会がこれを否決すれば、合意がまとまらないままEUを離脱する構えだった。上院が政府の意に反して離脱法案の修正案を可決するのは、これで7件目となる。
与党・保守党は上院で過半数の議席を持たない。修正案は保守党のEU残留派の上院議員が提出したもので、採決では同党から19人が修正案を支持した。これに対し反対派は、民意によって決まったEU離脱に議会が拒否権を発動するべきではないと訴えていた。
EU離脱法案は、EU法の優位性の終了や現行のEU法を国内法に置き換えることなどを定めるもの。昨年12月に下院が、EUとの最終合意に議会の承認を義務付ける修正案を可決していた。同法案はその後、1月に下院を通過し、上院で審議が行われている。なお、上院ではこの日、他にも2件の修正案が可決されている。
■英国、アイルランド国境巡り新提案
デービスEU離脱相は、EU離脱後のアイルランドと英領北アイルランドの国境問題について、近く新たな解決策を提案する方針だ。欧州委員会のバルニエ首席交渉官が、アイルランドとの国境問題で英国が姿勢を軟化させなければ、EU離脱交渉が決裂する恐れもあると指摘したことを受け、自らのツイッターで4月30日発表した。
同相は、新たな提案はEU単一市場と英国の統合をいずれも尊重する必要があるとしている。英国はかねて、EUと新貿易・関税協定を結び、アイルランドとの国境で検問の必要性をなくす案と、新技術と事業者の認可制度を利用して検問を最小限にとどめる案を提示していたが、ブルームバーグによると新たな案はこの2案を合体した内容になるもようだ。バルニエ氏はかねて、アイルランド国境で検問を行う事態を避けるため、英国により柔軟な案を提示するよう求めていた。[EU規制]
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