欧州委員会は14日、英国の欧州連合(EU)離脱に伴う悪影響の緩和に向けた「ブレグジット調整準備金(Brexit Adjustment Reserve)」の加盟12カ国への分配計画を承認した。今年3月と来年4月の2回に分けて、総額20億ユーロ超が割り当てられる。
同準備金は総額54億ユーロで、給付対象国の企業はこれをブレグジットの影響による2020年1月~23年12月の特別支出を埋め合わせるために利用できる。対象分野の内訳は漁業絡みが6億5,600万ユーロ、貿易絡みが45億ユーロ、英国との海上国境絡みが2億7,400万ユーロ。これを施行するEU規則は21年10月に発効した。
欧州委は昨年12月、ブレグジットの打撃が最も大きいアイルランドに最大額となる9億2,040万ユーロ、イタリアには1億1,600万ユーロをそれぞれ割り当てる計画を承認。今回は、ベルギー、エストニア、スペイン、フランス、クロアチア、ラトビア、マルタ、オランダ、オーストリア、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデンへの割り当てを決めた。
欧州委のフェレイラ結束・改革担当委は「ブレグジットはEUで生活する多くの人々に悪影響を及ぼした」とし、この打撃を受ける加盟国の支援に向け準備金を立ち上げたと説明。分配後は、加盟各国が自国の地域や共同体、市民、中小企業などを支援し、事業活動の多角化や雇用の維持、労働者の技能習得などを促進するため最大限に活用すべきと話した。
なお、アイルランドとイタリアには昨年12月に最初の支払いが行われた。次回の支払いは3月末までに計14カ国を対象に行われる。[EU規制][労務]
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