欧州議会(定数705)は28日、英国と欧州連合(EU)が昨年12月に締結した通商・協力協定を660対5の賛成多数で承認したと発表した。同協定は現在、暫定適用されているが、これによりEU側の批准手続きが正式に完了し、正式に発効する運びとなった。双方の首脳はこれを歓迎しているが、欧州議会は、英国のEU離脱は「歴史的過ち」との考えも表明している。
フォンデアライエン欧州委員長は、欧州議会による同協定の承認を「暖かく歓迎する」とコメント。「同協定は英国との強固で緊密なパートナーシップの土台となる」とした上で、「誠意をもってこれを実行することが重要」としている。
ジョンソン英首相は、EUによる同協定の批准は「長い旅の最後の一歩」とし、「同協定は、英国の重要な貿易パートナーおよび緊密な同盟相手で、同等の主権を持つEUとの新たな関係に安定をもたらす」と話した。
同協定の暫定適用は4月末に期限を迎えるため、それまでに欧州議会の本会議で正式に批准されなければ無効となる恐れもあった。欧州議会の外交委員会と国際貿易委員会は先に、同協定の批准を推奨したものの、英国が離脱協定に含まれる「北アイルランド国境問題にかかわる議定書」に違反し続ければ、「これまでの進歩はすべて台無しになる」と警告していた。
欧州議会は今回、「英国のEU離脱による負の影響を制限する同協定の締結を歓迎する」とした上で、「第三国がEU加盟国と同じ恩恵を享受することはできず、英国のEU離脱は歴史的な過ち」との考えを表明した。北アイルランドを巡っては、「英国の一方的な離脱協定違反」を強く非難し、同議定書の順守を求めている。
英・EU間ではほかにも、英領海での漁業免許交付の遅れを巡りフランスが不満を示しているほか、同協定に基づく手続きの煩雑化やコストの上昇を受けた貿易取引の縮小が懸念されている。加えて、同協定の対象外となっている金融・保険や広告、法律などのサービス分野については別途、協定をまとめる必要がある。
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