英国と欧州連合(EU)の将来的な関係を巡る交渉が、6日にブリュッセルで再開された。未解決の三つの争点のうち、漁業権を巡っては進展があったとの情報も出ているが、平等な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)と紛争解決手続きについては依然として溝が埋まらないとされる。ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長は7日夕に会談を予定しており、交渉の最終決定を下す可能性もある。BBC電子版などが伝えた。
EUのバルニエ首席交渉官は7日朝にEU加盟27カ国の大使と非公式の会合を持ち、依然として双方の見解に隔たりが残っているとして、交渉の行方についてやや悲観的な見方を示したとされる。英国とEUが通商協定で合意できるかどうかは、いまだに見通せない状況となっている。
漁業権ではEUの高官筋が6日夜、解決に向けた政治的決着が視野に入ってきたと説明。英国側が英国の排他的経済水域でのEU側の漁業権を複数年の移行期間で認めることを提案し、焦点はこの期間の長さと期間中の漁獲量に絞られてきたとされていた。しかし英国の高官は、交渉の打開策はいまだにないとして、これを否定している。
一方、平等な競争条件を巡っては、EU側が労働者の権利や環境規制、公的補助で英国がEUのルールを守るよう求めている。英国とEUの規制がかい離することでEUが不利になるとの懸念があるためで、EU側は競争条件が平等でないことが明確になれば、最終手段として市場へのアクセスを制限することを盛り込むことを望んでいる。これに対して英国側は主権を侵害するものとして強く反対し、双方に歩み寄りがないとされる。
EUは、10~11日に開くEU首脳会議(サミット)までに交渉をまとめることを目指している。ただし交渉で合意しても、これを法的文書にまとめてEUの全公用語に翻訳し、欧州議会が12月31日までに批准する必要がある。協定の内容によっては、EU加盟国の議会の批准が必要になる場合もある。
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