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英EU交渉、合意可能性6割か 専門家3人招きセミナー=弊社主催

英国と欧州連合(EU)によるブレグジット交渉や、移行期間終了後の将来の英・EU関係などに関する「EMBビジネスウェビナー」(エコノミック・メディア・ブレティン主催)が20日、開かれた。民間企業や法律事務所の専門家3人がパネルディスカッション形式で、離脱に関わる現状の問題点や今後の道筋について解説。今なお協議に進展は見られないものの、両者に交渉継続の意思が感じられることから、合意に至る可能性は60%前後との見方が示された。

モデレーターを務めたのは、欧州住友商事のコーポレート・コーディネーション&プランニンググループ長で在欧日系ビジネス協議会(JBCE)のブレグジット・タスクフォースの共同代表を務めるグラハム・ホルマン氏。パネリストとして、スウェーデンの広報会社クレアブ・ワールドワイドの副社長兼広報部門トップで同社のブレグジットチームを率いるセバスチャン・レモーイ氏、英国の法律事務所ハーバート・スミス・フリーヒルズのブレグジット・ディレクターであるポール・ブッチャー氏が登壇した。

ジョンソン英首相は、15~16日のEU首脳会議(サミット)までに合意のめどが立たなかったことを受け、産業界に合意なき離脱に備えるよう呼び掛けた。これについてレモーイ氏は「それでも同首相は妥結に至りたいと考えており、EU側も、交渉期限を11月半ばまで伸ばし、できる限り継続したい意向を示している」と説明。だが、両者の間で膠着(こうちゃく)状態にある漁業権や国家補助を巡る問題が障壁となるほか、英国の国内市場法案がEU側の不信をあおり大きな懸念材料になっていると指摘した。

ブッチャー氏は、英政府が交渉姿勢を再び示したことに言及。両者は現在、切迫した状況に追い込まれており、必要であれば譲歩せざるを得なくなると予想する。合意に至る可能性は60%程度だが、双方が相手の妥結点を読み違えて交渉時間を空費した結果、「不慮の合意なき離脱」になってしまう可能性もぬぐえないとしている。

EUによる年内批准についてレモーイ氏は、EU加盟各国の言語への合意文書の翻訳作業といった法務上の問題などから最低でも6週間は必要であるため、11月半ばが交渉の「最後の最後の期限」であると強調。意図的な合意なき離脱となれば、両者の感情悪化により再交渉は困難となるものの、不慮の場合は、移行期間終了後であっても運輸や航空といった重要な分野での交渉継続は可能と考える。ただ、各企業は合意なき離脱の可能性を考慮し、在庫確保といった備えを進めていくべきとアドバイスした。

質疑応答では、参加者からの「ブレグジット後の人の移動についてどうなるか」との質問に対し、レモーイ氏は「例えば、欧州に拠点を有する日本企業で働くEU市民が英国に出張や駐在として入国する場合、第3国からの入国と同じ扱いとなるため、従来と比べてやや煩雑になる」と回答。他にも貿易を含む各規制に関する質問が寄せられ、「企業は関税の専門家や英・EU双方のルールに対応しているサプライヤーなどを探しておく必要がある」と答えた。


関連国・地域: 英国EU
関連業種: マクロ・統計・その他経済政治

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