英国と欧州連合(EU)は11日、将来的な関係を巡る交渉の第3ラウンドをビデオ会議形式で開始した。6月に予定される英・EU首脳会議(サミット)に向け、英領海内での漁業権や、平等な競争に向けた基準の統一などを巡り双方の溝を埋められるかが焦点となる。交渉期間は15日まで。フィナンシャル・タイムズなどが伝えた。
EUのバルニエ首席交渉官は4月下旬の第2ラウンド終了後、「交渉の進展のなさに失望した」とコメントしていた。EU側には、英国が貿易協定締結やEU航空市場へのアクセス確保、エネルギー協力などに向けた交渉を急ぐ一方、EUが求める英領海内での漁業権やEU基準の受け入れといった問題では譲歩を拒み、交渉の進展を阻止しているとの不満がある。
エネルギー面では、英国はEUとの電力・ガス取引や原子力分野での協力を求めている。EUも対英協定にこうした分野を含めることに異存はないものの、他の分野の交渉にも並行して取り組むことを英国に求めている。
英国のEU離脱後の移行期間は12月31日に終了する。この日までに貿易協定が締結されない場合、来年以降の英・EU間の貿易には、世界貿易機関(WTO)のルールに基づく関税や輸入量の割り当てが適用されることになる。移行期間の延長は、6月末までに双方が合意すれば可能だが、英政府はEUが延長を望んでも応じない姿勢を示している。
EUの外交筋によると、EU側も既に移行期間が延長される可能性は低いことを受け入れている。貿易協定が年内に双方の議会によって批准されるためには、遅くとも10月までに合意をまとめる必要がある。[EU規制]
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