金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、1月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が47.9ポイントになったと発表した。速報値から0.1ポイント上方修正され、前月からは1.6ポイント上昇。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを12カ月連続で下回っているものの、2019年4月以降で最高を記録した。
調査対象国のうち、アイルランドは51.4ポイント、オーストリアは49.2ポイントにそれぞれ上がり、共に過去9カ月で最も高い。イタリアは48.9ポイントに上昇。ギリシャは54.4ポイントに伸び、スペインも48.5ポイントに上向いた。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは45.3ポイントと、速報値から0.1ポイント上方修正された。昨年12月からは1.6ポイント上がり、過去11カ月で最高を記録している。新規受注は、輸出向けが安定しつつあることを背景に、全体としては縮小幅が2018年10月以降で最小となった。生産高も落ち込みペースが過去5カ月で最も減速している。雇用の下落幅は引き続き、2010年初め以降で最大の部類にある。
フランスは51.1ポイントと速報値から0.1ポイント引き上げられ、前月からは0.7ポイント上昇。生産高は伸びが加速し、それに伴い新規受注も上向いた。一方、雇用は過去6カ月で初めて減少している。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、新規受注は、2018年10月以降落ち込みが続いているが、減少ペースは輸出向けの緩和に伴い、全体としても過去1年超で最も減速。雇用は9カ月連続で減ったものの、その縮小幅は2013年初め以来で最大となった前月よりは小さい。仕入れ価格は8カ月連続で低下し、出荷価格もさらに下落。半面、今後の見通しは2018年8月以降で最も改善している。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、2020年は景気回復の兆しと共にスタートを切ったとコメント。受注残高や生産への見通しなどが過去1年半近くで最も改善し、特にドイツでこの見通しが上向いていると指摘する。こうした結果から、ユーロ圏経済は向こう数カ月で力強く伸びると予想され、欧州中央銀行(ECB)は安心して政策金利を維持しながら、政策戦略の見直しに注力できるとした。だが、今後の見通しを阻むリスクとして、米国の関税や貿易紛争の激化、ブレグジットに関連する貿易の遅延、中国・武漢で始まった新型コロナウイルスの感染拡大に絡む先行き不透明感などを挙げている。
■英は9カ月ぶり分岐点に回復
IHSマークイットによると、1月の英国の製造業PMIは50ポイント。速報値から0.2ポイント上方修正され、昨年12月からは大きく2.5ポイント上昇し、9カ月ぶりに分岐点に復帰した。新規受注は、輸出向けが3カ月連続で減少したが、昨年12月の総選挙に伴い、政治的不透明感が改善されたため、全体としてはやや回復。生産高も増えた。雇用ペースは、前月からほぼ変化がない。仕入れ価格は昨年8月以降で最も上がり、出荷価格も上昇した。
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