金融情報サービス会社IHSマークイットは16日、12月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が50.6ポイントとなったと発表した。11月から横ばいだった。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは78カ月連続で超えたものの、引き続き低水準にとどまっている。
ユーロ圏の製造業PMIは45.9ポイントと、前月から1ポイント低下。新規受注は11カ月連続で減少し、生産高の落ち込みは2012年10月以降で最も加速した。仕入れ価格は引き続き大きく低下し、出荷価格もやや下落した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは43.4ポイント。前月から0.7ポイント下がり、依然として分岐点を下回っている。フランスは1.4ポイント低下して50.3ポイントだった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高は製造業の不振をサービス業が補いわずかに増加。新規受注も拡大した。雇用ペースは2014年11月以降で最も減速。仕入れ価格と出荷価格の上昇幅はそれぞれ過去40カ月、37カ月で最小となった。
■サービス業は軒並み好調
ユーロ圏のサービス業PMIは52.4ポイントと、前月から0.5ポイント上昇。国別ではドイツが0.3ポイント上がって52ポイントとなり、過去4カ月で最高となった。フランスは52.4ポイントと、11月から0.2ポイント上昇した。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果を元に、今年のユーロ圏経済は2013年以降で最低の水準で幕を閉じるだろうと予測。企業は需要の停滞と来年の暗い見通しに抗うため苦しんでいるとコメントした。PMIに基づけば、域内総生産(GDP)の成長率は四半期ベースで0.1%にとどまると指摘。ただ、第4四半期(10~12月)はドイツの製造業が不振だった一方で、フランスは勢いを取り戻していると説明した。
■英は過去3年半弱で最低
12月の英国の総合PMI(速報値)は48.5ポイントとなり、前月から0.8ポイント下落。過去41カ月で最低に沈んだ。企業は経済活動の減速の原因として、国内の政治情勢と欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感に加え、世界経済の低迷を挙げている。新規受注は引き続き減少し、受注残高の下落ペースは2016年7月以降で最も加速した。雇用は4カ月連続で縮小。仕入れ価格の伸びは上半期(1~6月)の水準を下回り、出荷価格の上昇幅は2016年4月以降で最も小さい。
製造業PMIは1.5ポイント下がり47.4ポイント。生産高の落ち込みが2012年7月以降で最も加速した。サービス業PMIは49ポイントと、11月から0.3ポイント下がっている。
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