金融情報サービス会社IHSマークイットは22日、11月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が50.3ポイントとなったと発表した。10月から0.3ポイント下落。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは77カ月連続で超えたものの、引き続き低水準にとどまっている。
ユーロ圏の製造業PMIは46.6ポイントと、前月から0.7ポイント上昇し、過去3カ月で最高を記録。新規受注は輸出向けの縮小を背景に、引き続き減少した。生産高は、落ち込みがやや緩和したものの、下落幅は依然として2013年初旬以降で最大の部類に入っている。仕入れ価格は大きく低下し、出荷価格の落ち込みペースは2016年4月以降で最も加速した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは43.8ポイント。前月から大きく1.7ポイント上がったものの、なお分岐点を下回っている。フランスも0.9ポイント上昇して51.6ポイントだった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高の伸びは2013年7月からの増加基調の中で、2番目に低い。これに伴い、新規受注も3カ月連続で減っている。雇用ペースは2015年1月以降で最も減速。仕入れ価格の上昇幅は2016年8月以降で最小となり、出荷価格もわずかな伸びにとどまった。
■サービス業は独がなお不振
ユーロ圏のサービス業PMIは51.5ポイントと、前月から0.7ポイント下がった。国別ではドイツが0.3ポイント下げて51.3ポイントとなり、過去38カ月で最低に沈んだ。一方、フランスは52.9ポイントと、10月から横ばいだった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、ユーロ圏経済は大幅な動きもなく3カ月連続で落ち着いた状態にあるとコメント。ただ、製造業は長引く貿易摩擦により過去6年で最も低迷している上、この傾向はサービス業にも影響を及ぼしており、特に、雇用の伸び減速に表れていると分析した。回答企業は、貿易戦争やブレグジット、世界全体での需要減退を懸念している上、経済的、政治的な先行き不透明感がさらなるリスク回避の動きにつながっていると指摘している。
■英は過去3年超で最低
IHSマークイットは今回、英国の総合PMI速報値を初めて公表した。11月の英国の総合PMIは48.5ポイントとなり、前月から1.5ポイント下落。分岐点を下回り、2016年7月以降で最低となった。背景には、欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感と、これを悪化させる恐れのある総選挙が12月に控えていることがある。新規受注は4カ月連続で落ち込み、下落ペースは2016年7月以降で最も加速。雇用は3カ月連続で減っている。仕入れ価格の伸びは過去3年半近くで最低だった半面、出荷価格の上昇幅は7月以降で最も大きい。
製造業PMIは1.3ポイント下がり48.3ポイント。企業はかねて従来のブレグジット期限である10月31日に備えて在庫の積み増しをしており、この反動が大きい。サービス業PMIは48.6ポイントと、10月から1.4ポイント下がっている。
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