金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、9月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、確定値)が50.1ポイントとなったと発表した。速報値から0.3ポイント下方修正され、8月からは1.8ポイント下落。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを75カ月連続で超えたものの、2013年6月以降で最低に沈んでいる。
調査対象国のうち、ドイツは48.5ポイントと速報値から0.6ポイント下方修正。前月からは3.2ポイント低下し、過去83カ月で最も低い。フランスは50.8ポイントと速報値から0.5ポイント引き下げられ、前月を2.1ポイント下回っている。スペインは51.7ポイントと0.9ポイント下落。アイルランドは8月から0.8ポイント下げて51ポイントだった。一方、イタリアは50.6ポイントと0.3ポイント上昇した。
ユーロ圏総合指数の新規受注は、輸出向けの不振が全体を押し下げ、1月以降で初めて縮小。雇用は、増加基調を維持しているものの、伸びは過去3年半で最も減速した。仕入れ価格の上昇幅は2016年8月以降で最小となり、出荷価格もわずかな上昇にとどまっている。事業見通しは、製造業の世界的な低迷やブレグジットを巡る政治的先行き不透明感が、引き続き低下圧力となった。
■サービス業は独仏共に不振
ユーロ圏のサービス業PMIは51.6ポイント。速報値から0.4ポイント下方修正され、前月からは1.9ポイント低下した。国別では、ドイツが51.4ポイントと3.4ポイント下落。新規受注は国内外が共に落ち込み、全体としては2014年12月以降で初めて減少に転じた。雇用ペースは拡大基調を維持し、長期平均を上回った。向こう12カ月の事業見通しは、過去5年近くで最低を記録した前月から回復したものの、引き続き低調だ。
フランスは51.1ポイントと前月を2.3ポイント下回った。新規受注は4カ月ぶりに輸出向けが縮小したことを背景に、全体での上昇幅は5月以降で最も小さい。雇用は2017年1月から続く拡大基調を維持したものの、ペースは前月からさらに減速した。スペインは53.3ポイントと前月から1ポイント下落。半面、イタリアは0.8ポイント上がり51.4ポイントだった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、9月のユーロ圏経済は停滞し、上昇傾向が始まった2013年半ば以降で初めて暗雲が立ち込めているとコメント。第3四半期(7~9月)の域内総生産(GDP)成長率については良くても0.1%にとどまり、第4四半期にはさらに勢いが弱まることから、リセッション(景気後退)入りのリスクが高まっていると懸念する。こうした状況を受け、欧州中央銀行(ECB)は向こう数カ月でさらなる経済刺激策を実施する必要に迫られていると指摘している。
■英は6カ月ぶり分岐点割れ
IHSマークイットによると、9月の英国サービス業PMIは49.5ポイントとなり、前月から1.1ポイント低下。6カ月ぶりに分岐点を下回った。英国の欧州連合(EU)を巡る先行き不透明感に伴う顧客の受注延期を受け、新規受注は減少し、うち輸出向けは、落ち込み幅が3月以降で最大となった。雇用は5カ月ぶりに減っている。事業見通しは4カ月連続で悪化し、2015年下半期以降で最低の水準に落ち込んでいる。
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