金融情報サービス会社IHSマークイットは1日、9月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が45.7ポイントになったと発表した。速報値から0.1ポイント上方修正されたものの、前月からは1.3ポイント低下し、2012年10月以降で最低を記録。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを8カ月連続で下回っている。
調査対象国のうち、オーストリアは45.1ポイントと、過去83カ月で最も悪化。イタリアとスペインはそれぞれ47.8ポイント、47.7ポイントに下がり、引き続き分岐点を下回った。ギリシャは53.6ポイントに低下。オランダは51.6ポイントと横ばいだった。一方、アイルランドは48.7ポイントと、過去76カ月で最低を記録した前月から0.1ポイント上昇している。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは41.7ポイント。速報値から0.3ポイント上方修正されたものの、8月からは1.8ポイント下がり2009年6月以降で最低に沈んだ。新規受注は、先行き不透明感に伴う延期や規模縮小、キャンセルが相次ぎ、落ち込み幅は2009年4月以降で最も大きい。生産高は8カ月連続で減少。雇用の縮小ペースも2010年1月以降で最速となった。
フランスは50.1ポイントと速報値から0.2ポイント下方修正され、前月からは1ポイント下落。生産高は再び縮小したほか、新規受注も国内向けが振るわず、全体を押し下げた。ただ、雇用は2カ月連続で増加している。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、新規受注が国内外で不振となり、下落ペースは2012年10月以降で最も加速した。雇用は5カ月連続で減少。仕入れ価格と出荷価格も共に低下している。今後の見通しについては、ブレグジットや米中貿易摩擦を巡る懸念を背景に、2012年11月以降で最低水準に落ち込んだ8月からほぼ変化がなかった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果を受け、ユーロ圏の製造業界の健全性がさらに悪化していると指摘。ユーロ圏内の生産高は四半期ベースで1%減少しており、ドイツの落ち込みが全体を押し下げているとした。労働市場も弱体化しており、これが製造業者の懸念のみならず、一般世帯やサービス業界にも影響を及ぼすだろうと分析している。
■英は過去4カ月で最高
IHSマークイットによると、9月の英国の製造業PMIは48.3ポイント。8月から0.9ポイント上昇して過去4カ月で最高に達したものの、依然として分岐点を下回った。経済や政治、英国の欧州連合(EU)離脱に絡む市場の先行き不透明感に伴い、顧客が設備投資に消極的になっていることから、新規受注と生産高は引き続き縮小。雇用の落ち込み幅も2013年2月以降で最大となっている。今後の見通しについては前月から回復したものの、依然として低水準だ。
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