金融情報サービス会社IHSマークイットは2日、8月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が47ポイントになったと発表した。速報値から変化はなく、前月から0.5ポイント上昇。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを7カ月連続で下回った。
調査対象国のうち、ギリシャは54.9ポイントと過去4カ月で最高の水準となった。オランダは51.6ポイントに改善。スペインとイタリアはそれぞれ48.8ポイント、48.7ポイントとなり、共に前月から上昇したものの、依然として分岐点を下回った。オーストリアは47.9ポイントに上がっている。一方、アイルランドは48.6ポイントと過去76カ月で最低を記録した。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは43.5ポイントと、速報値から0.1ポイント下方修正された。7月からは0.3ポイント上がったものの、中間財と投資財の不振が続き、依然として過去7年で最低の水準に近い。新規受注は、輸出の減少や自動車市場の需要減退が響き、落ち込み幅は過去10年で最も大きい部類に入る。生産高は7カ月連続で減少。雇用の縮小ペースも2012年7月以降で最も速い。
フランスは51.1ポイントと速報値から0.1ポイント上方修正され、前月からは大きく1.4ポイント上昇した。生産高と新規受注は、共にやや改善。これを受け、雇用も増加に転じた。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、新規受注が減少を続け、下落幅は過去6年超で最も速い。雇用は4カ月連続で減少。仕入れ価格と出荷価格も共に低下した。今後の見通しについては、米中貿易摩擦による製造業の不振を背景に、2012年11月以降で最低水準に落ち込んでいる。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果を受け、ユーロ圏内の生産高は四半期ベースで1%減少しており、製造業の停滞は、ユーロ圏内の第3四半期(7~9月)の域内総生産(GDP)成長の妨げとなると指摘。貿易摩擦が生産者の間で最も大きな懸念材料となっており、国際情勢の緊張の高まりが、8月のリスク回避の傾向を強めたと説明した。
■英は過去85カ月で最低
IHSマークイットによると、8月の英国の製造業PMIは47.4ポイント。7月から0.6ポイント下がり、2012年7月以降で最低を記録した。国内外の景気低迷や欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感が影響し、新規受注の下落幅も過去7年超で最も大きい。これに伴い、生産高は消費財と中間財、投資財の全てで落ち込んでいる。雇用の縮小ペースは過去6年半で最も速い部類となっている。今後の見通しについては、調査項目に加わった2012年7月以降で最低水準に落ち込んだ。
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