金融情報サービス会社IHSマークイットは5日、7月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、確定値)が51.5ポイントとなったと発表した。速報値から変化がなく、6月からは0.7ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを73カ月連続で超えたものの、過去3カ月で最低に沈んでいる。
調査対象国のうち、ドイツは50.9ポイントと速報値から0.5ポイント下落。前月からも1.7ポイント下がり、過去73カ月で最低となった。フランスは51.9ポイントで速報値から0.2ポイント上方修正されたが、前月からは0.8ポイント低下している。イタリアは51ポイントと0.9ポイント上昇。スペインは51.7ポイントと前月を0.4ポイント下回り、過去68カ月で最も低い。なお、アイルランドの結果は6日に公表される予定。
ユーロ圏総合指数の新規受注はやや上昇。ただ、依然として需要の減退基調は続いており、製造業の受注減が主な押し下げ要因となっている。雇用は、2014年11月以降の増加傾向を維持しているものの、伸びは2016年4月以降で最も減速。仕入れ価格の上昇幅は2016年9月以降で最小にとどまり、出荷価格の上昇ペースも緩和した。事業見通しは過去5年弱で最低に落ち込んでいる。
■サービス業は独仏共に低下
ユーロ圏のサービス業PMIは53.2ポイント。速報値から0.1ポイント下方修正され、前月を0.4ポイント下回った。国別では、ドイツが54.5ポイントと1.3ポイント下がり、1月以降で最低を記録。新規受注は、内需が力強く伸びた一方で輸出向けが落ち込み、全体としての伸びは2月以降で最も減速した。雇用ペースも1月以降で最も低い。向こう12カ月の事業見通しは5カ月連続で落ち込み、2014年12月以降で最低に沈んでいる。
フランスは52.6ポイントと前月から0.3ポイント低下。新規受注は輸出向けが拡大し、全体では4カ月連続で増加。ただ、上昇幅は前月からやや縮小した。雇用は31カ月連続で増え、ペースは昨年10月以降で最も加速している。スペインは52.9ポイントと前月から0.7ポイント低下。イタリアは1.2ポイント上がり51.7ポイントだった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、7月もサービス業がユーロ圏経済全体の成長を支えたものの、製造業の停滞傾向による影響が広がり始めていると指摘。貿易戦争を巡る不安や経済成長の鈍化、自動車産業の不振、ブレグジットなどの地政学的な懸念が製造業生産の落ち込みにつながったとした。これにより、現時点での域内総生産(GDP)成長率は0.1%近くにまで下落していると分析した。
■英は過去9カ月で最高
IHSマークイットによると、7月の英国サービス業PMIは51.4ポイントとなり、前月から1.2ポイント上昇。過去9カ月で最高を記録した。新規受注は、通貨ポンド安を背景に輸出向けが回復し、全体では昨年9月以降で最も拡大。雇用も堅調に増加した。その一方で、事業見通しは、内政の先行き不透明感や世界経済の見通しへの懸念から、3月以降で最低に沈んでいる。
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