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欧州の情報、多角的に収集を ロンドンでビジネスセミナー

欧州の政治動向や経済情勢をテーマにした「EMBビジネスセミナー」(エコノミック・メディア・ブレティン主催)が24日、ロンドン市内で開かれた。丸紅欧州会社国際調査チーム長の松原弘行氏が、5年に1度の欧州議会選挙を終えて見えてきた欧州政治のパワーバランスの変化や、ブレグジットの政治ゲームとしての側面などを解説。悲観的なニュースが目立つ傾向にある中、多角的な情報収集の重要性を伝えた。

松原氏はセミナーの冒頭、「報道との目指すべき付き合い方」としてメディアから情報を得る際の注意点を説明。5月に実施された欧州議会選の結果については、日本の各報道は主に悲観的な面を強調していると指摘した。一方で、別の解釈としてドイツやポーランドでの高い投票率が極右勢力の伸張を抑えた側面があること、マクロン仏大統領にとっては欧州連合(EU)改革が進めやすくなる結果となったことなどを伝えた。

また、フォンデアライエン独国防相の次期欧州委員長への就任をはじめとするEUの要職人事について、専門家らの推測や考察を展開。ドイツ、フランス、イタリア、英国での欧州議会選の結果から垣間見える各国の政治情勢から、「(ドイツの)メルケル首相とクランプカレンバウアー党首による体制は安泰」「サルビーニ伊内相は過激な発言で人気を稼ぐが、実際は中道右派路線を推進する見込み」といった現地発の解釈を紹介した。

また、次期英国首相にジョンソン外相が就任したことについては、ブレグジット交渉で現実路線に進む可能性もあると予測。また、ブレグジット以外にも新たに大胆な施策を行う可能性があり、日本企業はむしろその動向に注意が必要と指摘した。

総括として、欧州に関する悲観的な情報や偏見のある情報に日本の本社が反応することで、欧州でのビジネス機会を逃すといったことがないよう、「駐在員としてはバランスが取れるような情報を積極的に発信する責務がある」と締めくくった。

質疑応答では、参加者からの「フランスやドイツのメディアが出す英語報道を読むことで、より正確な理解につながるか」という質問に対し、現地での感覚をつかむことも大切だと説明。「ジョンソン首相がブレグジットに際して現実路線に進む場合、52%の離脱派の支持を失くすことにならないか」との問いには、与党・保守党が次の総選挙で勝つためにも離脱を目指すことは変わらないが、合意なき離脱ありきで動くとも言い切れないとの見解を示した。

欧州の動向を解説する松原氏(EMB撮影)

欧州の動向を解説する松原氏(EMB撮影)


関連国・地域: EU
関連業種: マクロ・統計・その他経済政治

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