金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、5月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が47.7ポイントになったと発表した。速報値から変化がなく、前月からは0.2ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを4カ月連続で下回った。
調査対象国のうち、オーストリアは47.8ポイントと過去50カ月で最低を記録。スペインは50.2ポイント、ギリシャは54.5ポイントに下がり、いずれも過去3カ月で最も減速している。一方、オランダは52.2ポイントに上昇した。イタリアは49.5ポイントと、過去8カ月で最高に達したものの、依然として分水嶺を下回っている。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは44.3ポイント。速報値から変化はなく、4月からわずかに0.1ポイント低下して2012年半ば以降で最も低い部類に入った。雇用は3カ月連続で縮小し、失業ペースは2013年1月以降で最も速い。新規受注は、前月に続き下落幅が縮小したものの、自動車産業の不振や米中貿易摩擦、顧客の在庫調整などにより依然として減速ペースは速い。生産高は、消費財の伸びと資本財の落ち込みの緩和により減少ペースは2カ月連続で和らいでいる。
フランスは50.6ポイントとこちらも速報値から変化がなかった。前月からは0.6ポイント上昇し、引き続き分岐点を上回った。雇用は5カ月連続で増加し、拡大ペースは2月以降で最も加速した。生産高と新規受注は共に3カ月連続で減ったが、減少ペースは和らいだ。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、新規受注は輸出向けが依然として不振で、8カ月連続で減少した。生産高も4カ月連続で縮小。雇用は過去57カ月で初めて減少に転じた。仕入れ価格の伸びは2016年8月以降で最も小さく、出荷価格はわずかな増加にとどまった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、「ユーロ圏の製造業は引き続き不調で、第2四半期(4~6月)の経済全体での成長の足を引っ張ることになる」と分析。新規受注や生産高の落ち込みは減速しているものの、回答企業が懸念事項とする貿易摩擦や自動車業界の不振、ブレグジットなどの地政学的な先行き不透明感は全て製造業の安定を妨げるリスクがあると説明した。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。