経済協力開発機構(OECD)は6日発表した世界経済見通しの中で、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)が前年比1%拡大するとの見通しを示した。昨年11月の前回予測から0.8ポイント下方修正した形で、2020年についても0.4ポイント引き下げ、1.2%とした。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感や貿易摩擦が影を落とした格好だ。
OECDはユーロ圏について、鉱工業生産が特に脆弱(ぜいじゃく)だと指摘。今年は賃金上昇やマクロ経済政策が家計消費を支える半面、政策を巡る不透明感や外需の弱さ、景況感の低迷が、投資の妨げとなると予測する。特に輸出がGDPに占める割合の高いドイツとイタリアに影響が表れるとみており、ドイツの成長率見通しを今年は0.7%、来年は1.1%へと大幅に引き下げた。イタリアは、今年は1.1ポイント下方修正されてマイナス0.2%となるが、来年は0.5%のプラス成長を回復すると予想している。フランスについては今年と来年が共に1.3%と、それぞれ0.3ポイント、0.2ポイント下方修正した。
ユーロ圏外では、英国の今年のGDP成長率見通しを0.6ポイント、来年は0.2ポイント引き下げてそれぞれ0.8%、0.9%を見込んでいる。依然として力強い労働市場が家計消費を支えるものの、ブレグジットを巡る不透明感が続いていることやユーロ圏成長の鈍化が、景況感や投資、輸出見通しの足かせとなっていると結論付けた。
世界全体については、今年の成長率を3.3%、来年を3.4%とし、前回予想からいずれも引き下げた。政治的不透明感や貿易摩擦の高まり、企業景況感と消費者信頼感の低下傾向により、勢いを失っているとの見方を示している。
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