金融情報サービス会社IHSマークイットは5日、2月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、確定値)が51.9ポイントとなったと発表した。速報値から0.5ポイント上方修正され、1月からは0.9ポイント上昇。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを68カ月連続で超え、過去3カ月で最高を記録した。
調査対象5カ国のうち、ドイツは52.8ポイントと速報値から0.1ポイント伸び、前月からは0.7ポイント上昇。フランスは50.4ポイントで速報値から0.5ポイント上がり、前月からは大きく2.2ポイント上昇し、改善圏に復帰した。イタリアは49.6ポイントとに上向いたが、引き続き悪化圏にとどまった。アイルランドは55.4ポイントに上昇した一方、スペインは53.5ポイントに低下している。
ユーロ圏総合指数の新規受注は、製造業が過去6年近くで最大の落ち込み幅を記録したものの、サービス業が好調でこれをやや相殺。雇用は前月からやや加速し、過去4年超続く成長基調を維持した。仕入れ価格は、人件費が上昇した半面、特に製造業で価格が低下し、全体では上昇幅が過去1年半で最小となった。出荷価格の伸びも2017年9月以降で最も減速している。事業見通しは過去5カ月で最も改善したものの、政治的・経済的な先行き不透明感が依然としてあり、過去4年で最も低い部類にとどまっている。
■サービス業は軒並み上向き
ユーロ圏のサービス業PMIは52.8ポイント。速報値から0.5ポイント上方修正され、前月からは1.6ポイント上昇した。国別では、ドイツが55.3ポイントと2.3ポイント上昇し、過去1年で2番目に高い水準となった。新規受注は、輸出向けが12カ月ぶりに上向き、全体では5カ月ぶりに伸びが加速。雇用ペースも力強く伸びた。向こう12カ月の事業見通しは昨年4月以降で最も改善している。
フランスは50.2ポイントと前月から大きく2.4ポイント上がり、3カ月ぶりに分岐点を上回った。新規受注は、3カ月連続で輸出向け受注が不振。一方、雇用は勢いが加速した。スペインは54.5ポイントと前月から0.2ポイント低下。一方、イタリアは50.4ポイントで0.7ポイント上がり、悪化圏から復帰した。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、フランスでの反政府デモ「黄色いベスト」運動や、自動車への新たな排ガス規制といった一時的な負の要素が緩和されたことが、今回の結果につながったと指摘。しかし、世界経済の低迷や地政学的な懸念の拡大、貿易戦争、英国の欧州連合(EU)離脱などの逆風が引き続き事業活動を抑制することから、回答企業は依然として低迷が続くとの見通しを示している。また、第1四半期(1~3月)の域内総生産(GDP)成長率見通しは0.2%と、1月の予想から0.1ポイント上方修正している。
■英は依然として低水準
IHSマークイットによると、2月の英国サービス業PMIは51.3ポイントとなり、前月から1.2ポイント上昇。ただ、1~2月平均は50.7ポイントにとどまり四半期ベースでは2012年第4四半期(10~12月)以来の低水準にとどまる可能性が高い。企業の間ではブレグジットを巡る先行き不透明感が事業活動を制限し、企業の投資などの意思決定に遅れを生じさせているほか、顧客の間でリスク回避の動きが高まっていると指摘する声もある。雇用ペースは2011年11月以降で最も減速している。
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