欧州委員会は7日発表した冬季経済見通しの中で、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比1.3%拡大するとの見方を示した。貿易摩擦の高まりや中国など新興経済の減速を背景に、主要各国で予想以上の減速が見込まれるとし、前回11月時点の秋季予測から0.6ポイント下方修正している。
来年の成長率見通しは1.6%と、こちらも前回から0.1ポイント引き下げた。英国を除く欧州連合(EU)加盟27カ国のGDP成長率は、2019年は1.5%と0.4ポイント引き下げ、2020年も0.1ポイント下方修正して1.7%とした。
今年の成長率予測を国別に見ると、ドイツは1.1%と秋季見通しから0.7ポイント引き下げた。フランスも0.3ポイント下方修正し1.3%にとどまるとみる。イタリアは前回の1.2%から0.2%へと大幅に引き下げた。スペインも2.1%と、0.1ポイント引き下げている。オランダも0.7%下方修正し、1.7%とした。
ユーロ圏外の英国は今年と来年が共に1.3%と、いずれも0.1ポイント引き上げた。ただしこれは、同国のEU離脱後もEU域内との貿易条件で現状が維持されるとの仮定に基く。
ドンブロウスキス欧州委員会副委員長兼ユーロ・社会的対話担当委員は、ユーロ圏主要各国の見通しが大幅に下方修正されたことについて、「貿易摩擦や中国など新興経済の減速といった外的要因による」と説明。加えて、ユーロ圏の一部の国で債務問題が再浮上していることや、ブレグジットによる混乱も懸念要素となると指摘する。欧州委は、今回の見通しを巡ってはこうした不確定要素が多く、下振れリスクの方が高いとしている。
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