金融情報サービス会社IHSマークイットは4日、2018年12月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、確定値)が51.1ポイントとなったと発表した。速報値から0.2ポイント下方修正され、11月からは大きく1.6ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは66カ月連続で超えたが、過去4年超で最低を記録した。
調査対象5カ国のうち、ドイツは51.6ポイントと速報値から0.6ポイント下方修正され、11月からは0.7ポイント低下。2013年6月以降で最低に沈んだ。フランスは分岐点を下回る48.7ポイントで速報値から0.6ポイント下がり、前月からは大きく5.5ポイント下落した。アイルランドは55.5ポイントと過去9カ月で最も低く、スペインも53.4ポイントに低下。一方、イタリアは分岐点の50ポイントに回復した。
ユーロ圏総合指数の新規受注は、伸びが2014年末以降で最も減速。一方、雇用は50カ月連続で増加した。仕入れ価格は燃料価格の下落などの影響で、上昇幅が2017年8月以降で最も縮小。出荷価格の伸びも過去15カ月で最も減速した。事業見通しは2014年10月以来の低水準に落ち込んでいる。
■サービス業は独仏が不振
ユーロ圏のサービス業PMIは51.2ポイント。速報値から0.2ポイント下方修正され、前月を2.2ポイント下回った。国別では、ドイツが51.8ポイントと1.5ポイント低下し、過去27カ月で最低を記録。新規受注の勢いは過去7カ月で最も弱まり、輸出向けは6カ月連続で減少。雇用ペースは昨年5月以降で最も減速している。向こう12カ月の事業見通しは過去3年超で最も振るわなかった。
フランスは49ポイントとマイナス圏に入り、前月からは大きく6.1ポイント下落。同国で続く「黄色いベスト」運動と呼ばれる反政府デモの影響で、生産高は過去2年半で初めて減少した。新規受注も34カ月ぶりに縮小し、雇用の勢いは過去20カ月で最も弱まった。スペインは54ポイントと3カ月連続で横ばい。イタリアは50.5ポイントで、前月から0.2ポイント上昇した。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果から、第4四半期(10~12月)の域内総生産(GDP)成長率が0.3%をやや下回ると予想。12月に限ると、0.15%に減速したとみる。フランスの不振は反政府デモに一部起因するが、欧州連合(EU)が自動車の燃費や炭素排出量測定の新基準を導入したこと以外は、他の国では主だった要因が見られないと指摘する。また企業の懸念事項は、貿易戦争、英国のEU離脱、政治的不透明感の高まり、金融市場の不安定さ、世界経済の減速など多岐にわたるとしている。
■英はやや上向き
IHSマークイットによると、昨年12月の英国サービス業PMIは51.2ポイント。2016年7月以降で最低を記録した前月から0.8ポイント上昇した。企業の間ではブレグジットを巡る不透明感の高まりや消費意欲の減退が影響したと指摘する声もあり、事業見通しは2009年3月以降で2番目に低い水準となっている。
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