金融情報サービス会社IHSマークイットは2日、2018年12月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が51.4ポイントになったと発表した。速報値から変化がなく、前月を0.4ポイント下回っている。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは66カ月連続で超えたものの、2016年2月以降で最低を記録した。
調査対象の8カ国のうち、スペインは51.1ポイントと過去28カ月で最低を記録。アイルランドは54.5ポイントと、過去9カ月で最も低い。オーストリアは53.9ポイント、ギリシャは53.8ポイントにそれぞれ低下した。一方、オランダは57.2ポイントに上昇。イタリアは49.2ポイントに改善したが、引き続き分岐点を下回った。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは51.5ポイント。速報値から変化がなく、11月を0.3ポイント下回り、過去33カ月で最低を記録した。新規受注の縮小幅は2014年11月以降で最大となり、特に輸出向けは過去6年で最も落ち込んでいる。一方、生産高の伸びは10月や11月に比べてやや加速。雇用ペースは過去23カ月で最も減速した前月から持ち直している。
フランスは49.7ポイントでこちらも速報値から変化がなく、11月からは1.1ポイント下落。27カ月ぶりに分岐点を下回った。生産高の伸びは2015年4月以降で最低。新規受注は2016年8月以来、輸出向け受注に限ると2016年4月以来の落ち込み幅をそれぞれ示した。雇用は2カ月連続で減少している。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、新規受注が3カ月連続で減少し、落ち込み幅は過去4年超で最大。自動車業界の不振や政治・経済的な不安定さが影響した。輸出向け受注も減少し、ドイツで過去6年で最低を記録したことが全体を押し下げた。一方、生産高は増加し、雇用も引き続き増えた。仕入れ価格の伸びは過去17カ月で最も縮小。出荷価格も2017年7月以来で最低となった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、「製造業が第4四半期(10〜12月)の域内経済成長の足を引っ張る可能性を高めた」と指摘。四半期ベースでは2013年第2四半期以降で最も不振だったと説明する。同氏はまた、これがフランスでの反政府デモや、欧州連合(EU)が導入した自動車の燃費や炭素排出量測定の新基準の影響ならば、成長低迷は一時的になる可能性もあるとみる。一方で、英国のEU離脱が特に見通しに不透明感を与えており、現在の需要縮小や調査結果全体で見られるリスク回避動向を鑑みると、回復度合いは微弱にとどまると分析している。
■英国は過去6カ月で最高
IHSマークイットによると、2018年12月の英国の製造業PMIは54.2ポイント。11月から0.6ポイント上昇し、過去6カ月で最高を記録した。分岐点の50ポイントは29カ月連続で超えている。背景にはブレグジットに備え、製造業者と顧客の双方が新規受注と備蓄を増やしたことがある。
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