欧州司法裁判所は10日、英国は欧州連合(EU)のリスボン条約第50条に基づくEU離脱通告を一方的に撤回できるとの判断を下した。英国が民主主義的な手続きを経て離脱の取りやめを決めれば、従来通りの条件でEUにとどまることができるとしている。2度目の国民投票を求める英国のEU残留派が勢いづくことは必至とみられる。
同裁判所は、英国とEUの間で離脱協定が正式に締結されるまで、あるいは離脱通告から正式な離脱期限である2年後までの間であれば、他のEU加盟27カ国の承認なしに一方的に離脱を取りやめることが可能と判断。また、双方の合意により離脱期限が2年後以降に延期されれば、その間の撤回も可能としている。ただ、離脱の撤回は「憲法上の要件にのっとり、民主的な手続きに従って決定しなければならない」としており、英国の場合には議会での承認が必要になる。
英議会やスコットランド議会、欧州議会の一部のEU残留派議員らは2017年12月、英国が離脱通告を一方的に撤回できるかどうかの司法判断をスコットランドの裁判所に要請。欧州司法裁は同裁判所から判断を付託され、先には欧州司法裁の法務官も、離脱通告の一方的撤回は可能との判断を下していた。英政府は、第50条に基づきEU離脱を通告したからには後戻りはできないと主張していたが、これを覆す判断が下された格好となる。
EU残留への合法的な道が開かれたことになるが、ゴーブ環境相はこの判断について、「国民投票の結果や、3月29日にEUを離脱するという英政府の明確な意図を変えるものではない」とコメント。ハント外相も「政府がEU離脱を遅らせれば、国民はショックを受け強い怒りを持つだろう」と警告している。[EU規制]
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