経済協力開発機構(OECD)は21日発表した世界経済見通しの中で、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)成長率が1.9%になるとの見通しを示した。ユーロ圏の経済成長は鈍化しつつあるとして、前回9月時点の予測から0.1ポイント引き下げている。一方、英国の成長見通しは1.3%に据え置いた。
OECDは、ユーロ圏では景気が減速する中、低金利政策と財政緩和が内需と雇用を支えると予想。投資も引き続き堅調に伸び、賃金の伸びに伴いインフレも徐々に加速すると見ている。2019年の成長率見通しは1.8%と、やはり0.1ポイント引き下げ、2020年にはさらに1.6%に減速すると予想する。
国別では、ドイツの成長率見通しは今年と来年は共にが1.6%となり、2020年は1.4%に減速するとみる。フランスの伸びは今年、来年とも1.6%で、2020年は1.5%へとやや鈍化する見通し。イタリアは今年が1%、来年と2020年は0.9%にとどまると予想。今年と来年についてはいずれも0.2ポイント下方修正しており、欧州連合(EU)との摩擦を生んでいる予算案の支出拡大策にもかかわらず、経済は伸び悩むとみている。スペインは今年は2.6%伸びるものの、2019年は2.2%、2020年は1.9%への減速を見込む。
ユーロ圏外では、英国の今年の成長率見通しは前回から変わらず1.3%とした。来年は財政緩和に支えられ伸びがやや加速すると予想し、前回から0.2ポイント引き上げ1.4%とした。ただ、2020年は1.1%への減速を見込んでいる。この予測はEUからの離脱が円滑に進むとの仮定に基づくもので、OECDは、EU離脱後に経済が大幅に弱体化した場合に備えるよう英政府に促している。
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