金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、7月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、確定値)が54.3ポイントとなったと発表した。速報値から変化がなく、6月から0.6ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは61カ月連続で超えている。
調査対象5カ国のうち、ドイツは55ポイントと速報値を0.2ポイント下回ったが、6月からは0.2ポイント上昇した。フランスは54.4ポイントで速報値を0.1ポイント下回り、前月からは0.6ポイント下がった。アイルランドは56.8ポイントと過去4カ月で最低、イタリアは53ポイントに低下した。スペインは52.7ポイントと、過去56カ月で最低を記録している。
総合指数の生産高は勢いが弱まり、新規受注の伸びは過去1年半超で2番目に低い水準となった。雇用は調査対象5カ国全てで増加し、伸びは高水準を維持しているものの、前月からは縮小している。出荷価格と仕入れ価格の伸びは共にやや減速したが、長期平均は上回っている。
■サービス業は独仏が共に低下
ユーロ圏のサービス業PMIは54.2ポイント。速報値から0.2ポイント下方修正され、前月からは1ポイント低下した。国別では、ドイツが54.1ポイントと前月を0.4ポイント下回った。新規受注の伸びは過去9カ月で最高に達し、雇用は高水準を維持している。向こう12カ月の事業見通しは改善したものの、2016年12月以降で3番目に低い水準にとどまっている。
フランスは54.9ポイントで、前月から1ポイント低下。新規受注の伸びが減速した一方、雇用ペースは依然として長期平均を上回っている。スペインは52.6ポイントと、2.8ポイント低下。2013年11月以降で最も減速している。半面、イタリアは54ポイントで0.3ポイント下回ったものの、分岐点の50ポイントは26カ月連続で超えている。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは、ユーロ圏経済は第3四半期(7~9月)を弱い足取りでスタートしたと説明。また、経済成長の減速傾向の高まりや先行き不透明感により、欧州中央銀行(ECB)は金融政策において慎重な姿勢を維持すると分析している。第3四半期の域内総生産(GDP)成長率については0.3%程度と前回予想を下方修正した。
■英は4月以降で最低
IHSマークイットによると、7月の英国サービス業PMIは53.5ポイント。6月から1.6ポイント低下し、4月以降で最低を記録した。分岐点の50ポイントは24カ月連続で超えたが、消費者信頼感や企業景況感の停滞、ブレグジットへの懸念に伴う英経済に対する悲観的な見方を背景に、伸びが小幅にとどまっている。
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