英国のスターマー首相は12日、移民の流入を大幅に抑制するため、新たな移民法案を提出すると発表した。永住権付与の対象となる居住年数を5年間から10年間に延長する一方、看護師や医師、エンジニアなどへのビザ発給を優先。英語力要件の引き上げや家族の呼び寄せの厳格化なども含まれる。スターマー氏は移民の削減目標の明示は避けつつ、「大幅に削減することを約束する」と述べた。
永住権の申請には「経済と社会への多大な貢献」を示さない限り、10年間の居住が要件となる。高技能労働者ビザの申請条件は修士課程修了以上に引き上げ、最低年収も引き上げる。
一方で、経済界からは移民削減による労働力不足や経済成長の低迷への懸念の声が上がっている。しかし、スターマー氏は前保守党政権の移民政策を「国境開放という失敗」と位置付け、「移民数の増加が経済成長につながるかどうかは過去4年間で検証済みだ」と指摘。移民数の増加にもかかわらず、経済は低迷しているとした。
英政府統計局(ONS)によると、純移民数は2023年6月までの1年間で90万6,000人となり、過去最多を更新。ただ、前保守党政権が翌年から移民規制を強化したことで減少に転じている。
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