ドイツ連邦議会(下院)は29日、移民政策の厳格化を求める動議を賛成多数で可決した。最大野党で中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)連合が提案し、排外主義的な政策を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」も賛成。CDU・CSUは実質的に極右政党の協力を得るという「戦後のタブー」を破ったことになり、痛烈な批判が相次いでいる。DPA通信などが伝えた。
動議に法的拘束力はないが、滞在資格のない移民や難民認定希望者が入国するのを防ぐために、国境を閉鎖することなどを求めている。
連邦議会で極右政党が過半数の成立に寄与するのは初めて。ショルツ首相は「75年以上前に連邦共和国が建国されて以来、極右とは共闘しないという明確なコンセンサスが民主主義者の間には常にあった。あなたたちはそれを感情的になって破った。許されない過ちだ」と批判。一方、AfDのワイデル共同党首は「民主主義にとって歴史的な日だ」と述べた。
CDUのメルツ党首は「間違った人々が支持したからといって動議が間違っていたわけではない」と説明。ただ、AfDの協力により動議が議決されたことについて、後悔しているとも述べた。CDU・CSUは2月23日の総選挙の得票で首位に立つとみられているが、今回の動きによって連立交渉が困難になる可能性もある。
ドイツのカトリック、プロテスタントの両教会は、議会に宛てた書簡で「極右と協力することは国の民主主義を損なう」と懸念を示している。
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