2月のドイツ連邦議会(下院)選挙で政権奪還を目指すキリスト教民主同盟(CDU)は、「アジェンダ2030」と題した経済政策を取りまとめ、10日公表した。大規模な税制改革、より柔軟な労働市場の実現、エネルギー価格の引き下げなどを実行することで、中期的に少なくとも2%の国内総生産(GDP)成長率を目指している。
文書では、社会民主党(SPD)主導の連立政権で、ドイツ経済は危機的状況にあると述べ、多くの企業が経営破綻し、失業者も増加していると現政権を批判した。問題点として、所得税の負担がほとんどの欧州諸国より高いことや、エネルギー価格の高騰、行政の非効率性を挙げた。
こうした状況の改善に向け、税制改革では、所得税と法人税を段階的に引き下げ、旧東独地域の経済開発支援に充てている「連帯税」を廃止する方針だ。
行政改革では、省庁の職員を、部局の統合などで10%削減する。専門性を持つ外国人労働者の獲得競争に打ち勝つため、雇用の手続きを簡素化することも盛り込んだ。
産業強化策としては、「工業国として、また危機に強い輸出大国として存在し続けるために」、エネルギーコストの引き下げ、自由貿易の拡大を図る。自動車産業の保護のため、内燃機関(ICE)車の禁止には反対する姿勢も明言した。
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