英国のレイナー副首相は16日、イングランド地方自治制度の改革案を発表した。経済成長策「プラン・フォー・チェンジ」の一環で、自治体の長の権限を拡大し、地方の経済活性化と生活水準の向上を図る。実現すれば、1974年の地方自治制度の再編以来の大規模な改革となる。
今回の改革案で最も大きなポイントは、2層制となっている地方行政の統合だ。イングランドでは、大都市圏以外の地域の自治体は日本の県に当たる「カウンティー」と市町村に相当する「ディストリクト」に分かれている。政府はこれをすべて1層制に再編し、各自治体の長に住宅開発や交通、教育、雇用などの重要政策を推進する上での意思決定や資金面での直接的な権限を付与する方針。これにより、20億ポンドの歳出削減が可能になるとしている。
レイナー氏は「英国は欧州で最も中央集権的な国」とした上で、「中央政府によるマイクロマネジメントを終わらせる」と述べた。また、近く1層制を優先的に進める地域を発表し、これらの地域では2026年5月に首長選挙を実施することを目指すという。
地方議会の統括団体は今回の改革案について、地方の意思決定を弱体化させ、混乱を招く恐れがあると指摘。最大野党・保守党も「地方議会から権限を奪う計画の一部で、中央政府が地方の同意なしに再編成を強制する動き」と批判している。
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