英政府は5日、「たばこ・電子たばこ法案」を提出した。たばこ販売を段階的に禁止し、屋外で喫煙禁止の対象となる場所を拡大するほか、電子たばこの広告も禁止する。公共医療の重点を治療から予防に移行する方針の一環として、最大の健康リスクとされる喫煙を制限する。
同法案では、今年時点で15歳以下へのたばこ販売は今後、恒久的に禁止される。導入されれば、現在15歳以下の若年層は生涯、たばこを買うことができない「スモークフリー世代」となる。この措置はスナク前首相が提案したものだが、スターマー政権もこれを引き継ぐ方針を示していた。
喫煙禁止の対象となる屋外スペースについては、子どもの遊び場や、学校・病院の周辺などが提案されており、法案は意見公募を経て決定する。政府は当初、パブの屋外席も候補としていたが、業界の反対を受け断念した経緯がある。
電子たばこについては、広告やスポンサーシップが禁止されるほか、香り付けや商品の陳列、包装などが制限される。
政府によると、英国では喫煙に起因する死亡者が年間8万人に上る。喫煙による病気の検査や治療は国民医療制度(NHS)の大きな負担となり、年間31億ポンドの財政コストをもたらしているほか、病気休暇による生産性の低下などで180億ポンドの経済損失を招いているという。
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