ドイツのハーベック副首相兼経済・気候保護相は4日、米半導体大手インテルの工場建設に充てる予定だった国家補助を、2025年度予算案の財源として使用することを容認する方針を示した。この案はリントナー財務相が要求していたもので、ハーベック氏にとっては3党連立政権の存続を念頭に入れた大幅な譲歩となる。
社会民主党(SPD)のショルツ首相と自由民主党(FDP)のリントナー氏、緑の党のハーベック氏の信頼関係は、かつてないほどに悪化し、3党の連立政権は崩壊状態に陥っているとされる。経済再建に向けた25年度予算を巡る協議でも対立が続いている。
そんな中、ハーベック氏は4日の記者会見で、「ここ数日、連立政権には不協和音が生じている」と認めた上で、「もし予算で失敗すれば、ドイツは最悪のタイミングで長期的に袋小路に入ることになる」と危機感を示した。
ハーベック氏はこの状況を打破するための「必要な譲歩」として、インテルが東部ザクセンアンハルト州マクデブルクで進めていた工場建設に振り向ける予定だった約100億ユーロの国家補助を、連邦予算の赤字の穴埋めに使うことを容認すると明らかにした。同氏はかねて、この国家補助は気候変動基金から捻出されるもので、通常予算の穴埋めには使用できないと拒否していた。インテルは同計画を2年程度延期すると発表している。
ドイツ公共放送連盟(ARD)が10月31日に発表した政党支持率では、連邦議会最大野党で中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)連合が34%で首位。現在の3党連立政権の支持率は計31%で、これを下回っている。連邦議会選挙は25年9月に予定されているが、前倒しを望む人は54%に上った。
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