ドイツのIfo経済研究所のクレメンス・フュースト所長は11日、欧州議会選挙の結果について「東独地域の経済見通しを暗くするものだ」と見解を語った。ベルリンを除く東独の州では軒並み、右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が首位に立ち、「左翼保守」を掲げる新党「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)」も躍進した。こうした急進政党の台頭は経済的観点ではマイナスだと憂慮する。
AfDは排外主義的な政策を掲げ、ワイデル共同党首が、政権を奪取した場合は欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を実施すると発言するなど、欧州の統合にも否定的な立場を取る。BSWもさらなるEUの拡大には反対の姿勢だ。経済政策では、大企業の解体や、医療や住宅関連領域の民営化の阻止を訴えている。
ザクセン州、テューリンゲン州、ブランデンブルク州の東独3州は、9月に州議会選挙を控える。欧州議会選の結果を見ると、AfDが州議会第1党となるのは必至の情勢で、BSWも国政与党を脅かす存在になっている。フュースト氏は、2党の伸張で、東独の事業拠点としての競争力は損なわれるとみる。
ドイツにおける欧州議会選は、国政与党の一角である緑の党が惨敗。得票率は11.9%と前回2019年の20.5%から大きく低下した。連立を組むショルツ首相率いる社会民主党(SPD)と、自由民主党(FDP)も、ともに得票率が下がった。
フュースト氏は、連立政権は弱体化しており、次の連邦議会選挙へ向けた対策に集中せざるを得ないと指摘。「事業拠点に対する大規模な経済政策は、もはや期待できない」と語った。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。