ケルン経済研究所(IW)は4日、今年の米大統領選挙でトランプ前大統領が再選して関税を引き上げれば、ドイツの国内総生産(GDP)は2028年までに少なくとも1.2%縮小するとの見通しを示した。輸出が落ち込むことで民間投資が大幅に縮小する可能性があるとしている。
トランプ氏は輸入関税を10%に引き上げることを提案しており、特に中国からの輸入には現在より40パーセントポイント高い60%の関税をかける方針を示している。IWは、これが実現すればドイツのような輸出主導の経済への打撃は深刻だと説明。さらに、中国が報復措置として米国への関税を40パーセントポイント引き上げれば、ドイツへの影響も拡大し、GDPは1.4%縮小する可能性があるとみている。
同研究所は、こうしたシナリオに備えるため、欧州連合(EU)はバイデン政権のうちに米国との貿易関係を強化する必要があると指摘。米EU貿易技術評議会(TTC)を制度化するほか、重要鉱物やグリーンスチール、アルミニウムなどを巡る協定を結ぶことを提案した。
また、オーストラリアやメルコスール(南米南部共同市場)を含め、より多くの国と自由貿易協定(FTA)を結ぶことの重要性にも言及。トランプ氏がEUに対して新たな貿易障壁を導入する構えを見せた場合、EUも報復措置で対応できるようにすべきだとしている。
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